いま「むの字屋」の土蔵の中にいます

平成18年9月後半の日々一献


★あっ★18/9/27のお酒
 いま、庵主がはまっているお酒が新潟の「菊水」である。
 「菊水」のふなぐち一番しぼりである。
 精米歩合70%で十分うまい。
 ちょっと癖のある香りがあってそれがまた庵主の気持ちを引きつけるのである。
 アルコール度数は19度だから、ちょった口に含んだだけで酔いがまわってくる。庵主は酒に弱いからである。
 庵主は、いい酒とか想像を絶するうまいお酒をいろいろ呑ませてもらったが、そういう酒ではないのに「ふなぐち菊水一番しぼり」の味は心にしみるのである。
 
 どういうわけか、庵の近所のスーパーマーケットがその缶詰をおいていたのである。
 200ミリリットル缶入りを280円で売っている。
 庵の近くには酒の安売屋があって、そこでは四合瓶入りの同じ酒を売っている。
 720ミリリッルで1176円だった。
 安売屋である、しかも四合瓶である。一本当たりの量が多いからこっちの方が得だと思ったのである。だから買ってみたのである。
 ところがである。
 よくよく計算してみると酒の安売屋の方が高かったのである。
 「1ダースなら安くなる」という言葉があるように大量に買った方が安いということは常識である。  この「ふなぐち菊水一番しぼり」は、四合瓶は720ミリリットルで1176円、それに対して缶入りは4缶合わせると800ミリリットルで1120円なのである。
 もっとも瓶入りの酒と缶入りの酒の味わいを比べてみるために買ってきた四合瓶だからそっちの方が高くてもかまいはしないのだが。

 最初に呑んだ「ふなぐち菊水一番しぼり」はH18.04.27の缶詰である。
 それが癖のあるにおいがある酒だった。その匂いとお酒の甘さにしびれてしまったのである。うまいとかまずいではなく、せつない味わいだったのである。

 「ふなぐち菊水一番しぼり」の缶詰は近くのコンビニの棚にもあった。
 今度は、製造日がH18.08.09である。
 いま呑んでいるスーパーのはH18.07.27だからまた違う詰め日のが楽しめるのであ。


★缶酒★18/9/20のお酒
 缶酒は燗酒のまちがいではない。缶にはいっているお酒のことである。
 
 中国に赴任した人が、日本から日本酒を4本を送ってもらったという。ところが、そのうちの2本は割れて届いたという。
 日本の宅配便が丁寧な仕事をしているということを、そういう話を聞くと改めて気づかされるのである。
 もっともそれだけでは、梱包が甘かったのか、配送の扱いが乱暴だったのかはわからないのだが、日本と中国との配送の連携がどこかでうまくいっていないということである。

 で、その場合には、瓶入りのお酒ではなくて、缶入り日本酒を送ればいいのではないかと思いついたというわけである。
 缶入りの日本酒が売られているのである。
 最初に思いつくのは、「銀盤」である。720ミリリットル入りの円筒型のアルミ缶に入れたお酒である。
 庵主はそれは呑んだことがない。
 同じ形の缶にはいっているのが「鳴門鯛」の生原酒である。
 このお酒はアルコール度数が18度以上19度未満と高くて庵主好みの味わいだった。

 今はカップ酒ブームで、それをアルミ缶に入れて売っている蔵元がある。1合ないし200ミリリットル入りのアルミ缶である。
 「誠鏡」とか「大洋盛」とかがそうである。

 遮光と密閉を考えればアルミ缶の方がガラスのカップよりも優れている。しかし、アルミ缶にはアルミニウムはアルツハイマーの原因になるという意見もあってその不安を覚える人にはすすめられない。

 アルミ缶に入っているお酒でいま庵主がはまっているのが「菊水」の本醸造生原酒である。以下、それを「ふなぐち菊水一番しぼり」という。
 なお、「ふなぐち菊水一番しぼり」のアルミ缶は一見1合入りのように見えるが、実は200ミリリットル入りである。
 アルコール度数が19度もあって、ちょっとクセのある味わいなのである。
 このクセのある味わいということろがみそなのである。それが上品な味わいだとかうまいとかいうのでないのだが、ホント、癖になる味なのである。
 そのお酒は、ちょっと口にしただけで十分なのである。
 度数が高いから、一口でどんと来る。しかも、独特のクセがあるから、そんなに量は呑みたくない。しかし、その味わいはなぜか病み付きになってしまう魅力が、いや魔力といったほうがいいか、があるのだから不思議だ。
 精米歩合70%でその味を醸しだしているというのがいい。70%磨けば十分うまいお酒が造れるということの証左になる。

 その能書きである。
 「製造年月日から二ケ月程度までは爽やかな清酒の風味があり」、
 「六ケ月を経過する頃には濃醇な原酒の味わいに」
 「八ケ月から十ケ月頃はブランデーに似た芳香と老酒のような枯れた味わいが楽しめます。」
 ちなみに庵主の手元にある「ふなぐち菊水一番しぼり」は、「製造日H18.04.28」とあるから、まだ爽やかな風味の原酒なのである。その味にはまってしまった。

 「ふなぐち菊水一番しぼり」は以前からあったのを知っているが、新潟の酒ということで近寄らなかったのでそのうまさに気づかなかったのである。
 ネットで見ると、その発売は昭和47年であるという。日本で初めてのアルミ缶入り生原酒だという。
 先入観でお酒を見てはよくないということである。
 じつは、「菊水」のアルミ缶には「熟成吟醸生原酒」というシリーズがあって、これもなかなかいける味わいでなのである。1年以上低温貯蔵室で寝かせた酒である。
 アルコール度数は19度であるが精米歩合が55%となっている。
 「生原酒」とはちょっと違うまろやかな感じがするが、しかし、その病み付きになるそうなクセのある味わいは一貫している。
 デパートの酒売場には、「ふなぐち菊水一番しぼり」の1リットル缶もあった。ファンが少なくないようである。