むの字屋辞典

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◆ あ ◆

あるちゅう【アル中】アルコール中毒のこと。アルコール中毒というのは正しくはアルコールを一時に大量に飲んだために起こる急激な身体障害のことだという。運がよければそれで死ぬことがある。国内でも年に何人かはそれで死んでいる伝統的な病気である。馬鹿は死ななきゃ治らないというが、その難病がいっぺんに治してもらえるのだから幸福な人なのである。病気は完治するものの患者は死んじゃうのであるが。
しかし、巷間〈こうかん〉では、アルコール依存症のをこともアル中と呼んでいる。
時間も時刻も時間と呼ぶようなものである。
純米酒もアル添酒も、お酒だと見るおおらかな生き方のことである。
世間の物事に対する認識はそんなものだということである。
いい加減が世間なのである。細かい違いにこだわることをオタクと呼んで暗に馬鹿にしているのである。
これを読んでいる人はおそらくそのオタクの域に踏み込んでいることは間違いない。
純米酒とアル添酒の違いなんかは、世間ではどうでもいいことなのである。そんなことの違いなこだわる人はよく言えば教養のある人である。違いが判る人が文化を担っているのである。ハッキリ言って、うざい人である。
純米酒でも、アル添酒でも、どうでもいいじゃないか。うまければ。

アル中でもアルコール依存症でもどうでもいいのである。
どっちで呼んでもアル中(迷惑なこと)に変わりはない。
アルコール依存症というのは、アルコールが切れると正常が保てなくなる病状をいう。傍迷惑な状態をいう。
いずれも病気であるが、アル中は瞬間芸、アルコール依存症は延々と続く迷惑芸である。

なお、庵主はアルコール依存症を明確にアルコール中毒と区別する時にはアル高と書く。
中学→高校、に引っかけた駄洒落である。中学を卒業して、より高度な段階に踏み込んでしまったという意味である。迷惑の次元が一つ上だということである。

あるこう【アル高】アルコール依存症をアルコール中毒と明確に区別するための用語。
「シリツ」と言ったのでは、「私立」なのか、「市立」なのか判らないので「わたくしりつ」と「いちりつ」と言い分けるように、「アル中」と言ったのでは、アルコール中毒のことなのか、アルコール依存症のことなのか判らない場合があるので、それを明確に区別するために庵主が勝手に造った用語。
時間と時刻は意味が違うのに、時刻のことを時間ということが少なくない。この場合は話の状況からどっちの意味で使っているかは想定できることが多いが、アルコール依存症はアル中と言われることが少なくないので、アル中と聞いたときにどっちの意味で言っているのか速断できない場合が多いことから、アルコール依存症のことをアル高と呼ぶことにしたもの。
もっとも、アルコール依存症という言葉があるのだから、なにもアル高など呼ばなくても最初からアルコール依存症と書いてもいいのだが、それでは長すぎるので、アル中になぞらえてアル高としたのである。言葉は短くするという原則による。
話は変わって、ただ「ジョウキゲン」と言ったのでは「上喜元」なのか「常きげん」なのか耳で聞いただけでは判らないことがあるので、庵主はそれを「うえきげん」と「つねきげん」と言い分けている。
耳で聞いただけでは判らないことがある酒銘に「菊水」と「喜久水」、「大観」と「大冠」というのもある。後者はアクセントで判ることがあるが、前者はそれも期待できない。

 

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