いま「むの字屋」の土蔵の中にいます


今夜もやっぱり千鳥足


★祭日荒木町比内鶏★14/1/14
 祭日の夜、急に酒が呑みたくなった。荒木町に足が向く。「与太呂」も「来会楽」も祭日は休みだから、開いている比内鶏の「今井屋本店」にはいる。
 酒の揃えは見事である。酒がうまくなくては食う気がしない。
 四角いグラスに丸いわっぱの袴で出てくる。やばい。グラスの外側に酒が滴るのが庵主は嫌いだ。しかも 1.5合で千円売りである。これもやばい。量が多すぎる。
 酒は「松の司」の純米吟醸のあらばしりである。これなら多少の量は呑めるだろう。
 酒が若い。フレッシュである。モーニング娘。のようににぎやかな若さにあふれている。口の中がはずんでいる。うまいとうならせる酒ではない。しかし口当たりのいい酒である。さわやかな酒が口のなかで踊っているのがわかる。若いというのはいいもんだ。そんな感懐をいだかせる酒である。「松の司」の杜氏である瀬戸清三郎は職人である。ケチのつけようがない安心した酒を造る。
 滋賀の竜王町からはるか離れた東京で「松の司」を呑めるとは、ありがたいことである。
 今井屋本店はうまい店である。
 食材(このことばは庵主は嫌いであるが)に気を配っているのがいい。ちゃんとご飯があるのがいい。庵主はめしを食わないと酒が呑めないたちである。この店はしばらくは通って味わってみたい。そういう期待感に満ちた店である。
 比内鶏の卵で作ったアイスクリームのなめらかさがいい。やわらかさがうまい。おいしい食べ方を知っている店である。
 うまい酒を呑んで、うまい飯(めし)を食えて、仕上げの甘いものがあるという店は少ない。
 うちに帰って来てからもなお体が火照っていた。呑み過ぎのせいではない。体がいつまでもそのうまさに酔っているからである。

★うまいビールが飲みたい★14/2/2
 ビールが飲みたいと思ったのは、その日午後11時を過ぎていた。
 まだやっているかどうかはわからなかったが、ただひたすらうまいビールを求めて下北沢にある「蔵くら」をめざす。近くで地ビールの生が飲める店はここしかない。
 ビール作りを体験して以来、庵主のビールの好みは主張のはっきりしたいわゆる地ビールにうつってしまった。
 これまで十分うまいと思っていた米ぬかビールの味がなんとも物足りなく感じるようになったのである。まずいわけではないが味わいが浅いのである。飲んでもつまらないのである。
 下北沢に着いたのは11時半頃だった。やっぱり営業は終了していた。
 曙橋に戻る。
 この時間に酒が呑めるところといえば曙橋のそばにある「秋山」である。
 山形の「三十六人衆」純米吟醸を呑む。
 きれいな酒である。酒品がいい。しっかりしたいい酒である。庵主のいう「うまい」酒ではないが気魄が感じられる。気持ちのいい酒だ。
 その気魄に庵主の心は頷くのである。
 大皿のポテトサラダがうまかった。
 深夜一時の酒である。